告白

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先に始めた後片付けが半分ほど終わった頃、香音と先輩が帰ってきた。 周りは何かあったんじゃないかと言いたげな目で見ていたけど、俺は微かな変化に気付きたくなくて、ふたりから目を逸らし続けた。 *** 帰りは、気分が悪いと言っていた香音を相田さんが気遣い、助手席に香音が座る。 後ろでは楽しそうに先輩と相田さんが会話をする中、俺達の間に流れるのは沈黙だけ。 朝、待ち合わせした場所に着くまで、俺達が言葉を交わすことはなかった。 「このあと、みんなで飲み行こうってなってんだけど、どうする?」 主任からの呑みの誘いに、先輩と相田さんは首を縦に振る。 時間は夜19時を回ったところ。 隣の香音を見ると、申し訳なさそうに微笑み、 「あ、……ごめん。私は帰るね」 そう言うとシートベルトを外し、車から降りようとする香音を俺は引き止める。 「主任、すみません。俺も不参加で。…北見さん、家どこ?送ってくよ」
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