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それを口にしたことで、また気まずい空気を引き戻してしまう。
「デートって程じゃ……」
「男と女が二人で出掛けて、デート以外に何があるっていうわけ?」
少し棘のある言い方に、香音は口を噤む。
「なんで電話でないの?何度も掛けたのに」
「………用事がないなら掛けないでって言ったでしょ」
「”会いたい”ってのは、用事に入んねーの?」
さっきから香音を困らせることしか言えない俺は、心の中で盛大に溜息を吐く。
………あぁもう……本当情けない。
小さく深呼吸をしたあと、ハンドルを握る手に力を込めると、
「……まぁ、いいよ。その代わり、今からちょっと付き合ってもらうから」
そう言うと、俺達の思い出の場所へと向かった。
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