2049人が本棚に入れています
本棚に追加
/747ページ
目的の場所に辿り着くと、ゆっくり車を停める。
香音はまだここがどこなのかわかっていないようで、キョロキョロと辺りを見渡していた。
「………ここ、憶えてる?」
そう問い掛ければ、何かを見つけて香音の瞳が揺れる。
交わる視線が、あの頃の思い出を連れてくる。
「……憶えてる」
思い出の場所で少し心が解れたのか、昔話を交わしながらあの時と同じ言い合いをしてしまう。
「そんなの話し掛ける口実でしょ。更衣室の場所聞くだけで、腕まで触る必要ある?」
不機嫌になる香音に少し驚きつつも、嬉しくて調子に乗る俺がいた。
「……妬いてんの?」
最初のコメントを投稿しよう!