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この日は、俺の誕生日でもある。
香音と一緒に過ごせたら、これ以上に幸せなことはないけど……、
「……行けない」
予想した通り、微かに聴こえる波の音に混じって、香音がそう呟いた。
「……そっか」
静かな海へ続く道を再び歩き出した俺達は、互いに無言のまま。
ようやく辿り着いた場所は、俺にとっては特別な場所。
「あの辺だっけ?花火大会の日に夜店が並ぶの」
思い浮かべたのは、あの日ふたりで見上げた夜空と、幸せな笑顔。
「香音さ、夜店のおじさんにイチゴ飴オマケしてもらってたよな?」
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