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思い出をひとつ零せば、香音も懐かしむように会話を広げていく。
時々ムキになったりするところが可愛いくて、俺の胸がドキッ…と音を立てていることに、きっと香音は気付かない。
だから、不意打ちの笑顔が見れた時、俺は勝手に香音との距離が近付いたものだと思っていた。
「あーゆーこと言うの、やめてよ」
はっきりと告げられた、拒絶。
「俺達が付き合ってたことがバレたら困るから?」
そう訊けば、わかりやすく表情が曇る。
「………壱吾だって、今更いろいろ詮索されたくないでしょ」
…………詮索、ね。
確かに、過去を根掘り葉掘り訊かれるのはいい気はしないけど、香音との思い出なら、いくらでも聞かせてやりたい。
けど、そう思ってるのは俺だけ。
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