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大通りから一本細い路地に入ったところに、そのお店はあった。
重厚感のあるドアを押し開け、薄暗い店内を見渡すと、カウンターにいる女性の姿が目に留まる。
「すみません、お待たせしました」
「あ、お疲れ様です。思ったより早かったですね」
ひとりグラスを傾ける葛宮さんの隣には、テーブルに突っ伏して寝ている香音の姿。
「何度も起こしたんですけど、起きなくて。……いろいろ吐き出したら、気が抜けちゃったんですかね」
ふふっ…と小さく笑いを零したあと、意味ありげな顔で俺を見る。
「……香音がなんて言ってたか、気になりますか?」
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