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気にならないわけじゃないけど……。
知りたいようで知りたくない………というのが本音。
香音がこんな状態になるくらいだから、あまり良いことを言われてるとは思えない。
「……俺、香音に嫌われることしかしてないですから」
俺との関係を誰にも知られないように隠し続けてきたのに、自ら葛宮さんに話すほど悩ませてしまった。
「……大嫌い、って言われたんでしたっけ?」
葛宮さんの口から零れた言葉に、思わず苦笑する。
たぶん、一生忘れられない言葉。
「……そうですね」
すると、葛宮さんは香音と自分のかばんを手にして、椅子から立ち上がる。
「とりあえず、出ましょうか。今、タクシー呼びますね」
彼女が電話を掛け、マスターらしき人にお会計を済ましている間、俺は寝ている香音を揺さぶってみるも、微かに声が零れただけで、やはり起きる気配はない。
どうにかこうにかしながら香音を背負うと、葛宮さんと共にお店をあとにした。
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