欲望

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「…よっと、」 ベッドに香音を寝かせ、しっかりと布団をかけたあと、スヤスヤと眠る寝顔を眺めながら、大きく息を吐く。 こんな形で上がり込んでしまった香音の部屋。 多少の罪悪感はあるものの、現在の香音を知れた気がして、どこか嬉しく思ってしまう。 ぐるりと辺りを見渡したあと、ベッドに背を向け、その場に座り込む。 考えるのは、ここから先のこと。 スマホを滑らせ、自分の最寄り駅までの終電を検索する。 「……………どうするかな」 今出れば、終電には間に合う。 だけど………。 視線をベッドに向ければ、定期的に聴こえる寝息。 「……………帰りたくねーな」 しばらく考え込んだあと、俺は寝ている香音を起こさないようにそっと立ち上がり、静かに部屋を出た。
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