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結局欲望には勝てず、終電を見送った俺はアパートの向かいにあるコンビニで必要なものを買い、香音の部屋へと戻る。
特に何をするわけでもなく、ただソファに背を預けて天井を仰ぎ、どれくらい時間が経っただろうか。
「…………んん、」
小さな声が聴こえ、反射的にベッドへと視線を投げる。
静まり返った部屋には、衣が擦れる音とベッドが軋む音がやたら大きく響く。
「………私、どうやって帰ってきたんだろ……」
目が覚めたらしい香音は、俺がいることに気付くはずもなく独り言を呟く。
そっとソファ越しに覗いてみれば、何かを探しているのか手を伸ばし、辺りを見渡していた。
「………携帯どこ。……今、何時ーー」
「1時過ぎたとこだよ」
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