欲望

16/30

2049人が本棚に入れています
本棚に追加
/747ページ
「………紗羽の連絡先、知ってたんだね」 そう口にする香音に、わかりやすく俺の口元は緩む。 「気になる?」 「……別に」 素っ気ない返事と逸らされた視線。 …………そんな都合よくいくわけないか。 俺は軽く事情を説明し、そっとベッドに手を付く。 「……でも、瑞妃の連絡先は知ってるんだよね?」 「瑞妃?……あぁ、相田さんか。いや、知らねーよ?」 「えっ、でもご飯!………行ったんだよね?」 きっと全て知っているであろう香音に、嘘なんか吐いたって仕方ない。 正直に頷いてみれば、少し棘のある言い方で返される。 「知られて困るなら、絶対漏れないように口止めしとけばよかったんじゃない?」
/747ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2049人が本棚に入れています
本棚に追加