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背中を向けて数分、ギシ…とベッドが軋み、香音の気配を感じた。
どうやら諦めて寝ることにしたらしいけど、静まり返った部屋にポツリと零れる本音。
「…………ほんと強引」
「聞こえてるっつーの」
背中合わせで交わす会話は、自然と昔話へ。
思い出すように瞼を閉じれば、じわじわと襲い来る眠気。
「なぁ、手繋ぐ?」
昔話に感化されたか、眠気のせいか。
それとも………口には出せない俺の本音か。
「じょ、冗談やめてよ!」
「昔は一緒に寝る時、いっつも手繋いで寝てたろ?」
隙間なんてないくらいしっかりと香音の手を包んで、眠りにつく。
たったそれだけのことで、なぜかすごく安心できた。
「腕枕より手を繋いで寝る方がいい、って言ったのは香音なのに、朝起きると絶対繋いだ手は振り解かれてて、俺の胸のとこで丸くなって寝てんの」
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