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「…………」
互いに背を向けて寝ていたはずが、目を覚ませばすぐそばに無防備に眠る香音の寝顔。
一瞬で眠気なんか吹き飛び、かわりに胸がせわしなく動き始める。
「……うわ、寝落ちとか……サイアク……」
香音を起こさないようにそっとベッドを抜け、洗面所へと足を向けると、いろんな邪念を振り払うように朝の準備を始めた。
リビングに戻り、香音が作って置いてくれたベーグルサンドを口に運ぶ。
「……………うま」
懐かしさに胸がギュッと締めつけられ、ひとくち噛じる度に過ごした日々が蘇る。
「…………また食えるなんて思わなかったな」
思いを噛み締めながら全て食べ終えると、食器を洗い、身支度を整える。
ベッドルームに目をやれば、さっきと変わらず気持ち良さそうに眠る香音がいた。
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