動揺

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胸元のネクタイを緩めながら部屋へと足を進めると、明るいリビングには昨日とは違って、テレビの音が響いている。 「準備するから、ソファに座って待ってて。…あ、ビール飲む?」 テーブルに二人分のランチョンマットとお箸を用意しながら、香音が俺を見上げる。 本音は飲みたいところだけど、なにかと自信がなくてグッと我慢した。 準備が整うまで、ぼんやりとテレビを観てやり過ごす。 けれど、目が追うのはキッチンに立つ香音ばかり。 昔はこんな光景が当たり前だったはずなのに……。 そんなことを考えているうちに、目の前には美味しそうな料理が次々に並んでいく。 最後にご飯とお味噌汁が置かれると、香音も隣に腰を下ろした。
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