動揺

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「どうぞ」 「サンキュ」 手を合わせて「いたただきます」を口にすると、迷わず生姜焼きに箸を伸ばした。 口いっぱいに広がるのは、懐かしい味。 「……っ、うま!久々に食ったけど、やっぱ香音の生姜焼きが1番美味い!」 「大袈裟」 素っ気ない返事のわりには、香音の表情は柔らかい。 それが照れ隠しだってことは、ちゃんとわかっている。 「しかも何気に俺の好物ばっかだよなー」 テーブルに並ぶ料理は和食で、どれも俺が大好きなもの。 細かい好みまでちゃんと覚えててくれて、少し感動すらする。 久し振りに二人で食べたご飯は、温かくて幸せで、まるであの頃に戻れたような気分だった。
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