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「あ~、腹いっぱい!このまま寝そう……」
「ほんとに寝ないでよ?」
全て綺麗に食べ終わり、ソファに頭だけ預けて天井を見上げていると、香音はテキパキとテーブルの上を片していく。
この空間の余韻を感じる間もなく、現実に引き戻されていく気分だ。
どうにかそれを止めたくて、次の約束に繋がるように調子に乗って手料理のリクエストをしてみるけれど、香音は無言のまま。
諦めたようにソファから頭を上げ、テーブルを拭く香音をじっと見つめた。
「片付け、手伝う」
「いいよ、疲れてるんだから、座って休んでて」
テーブルも拭き終わり、香音はキッチンへと歩いていく。
テレビの音に混じって、水の流れる音や食器が重なる音が響いた。
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