2049人が本棚に入れています
本棚に追加
/747ページ
こんなに全力で走るのは、いつぶりだろうか。
息は切れるし、一秒でも早く辿り着きたいのに、足は縺れそうになる。
気ばかりが焦って、信号に捕まるたびに舌打ちをしたくなる。
…………あー、くそっ!またかよっ!
ほんの数分が、とてつもなく長い時間に思える。
もしも香音になにかあったら……。
そんな嫌な考えばかりが、頭の中を占める。
………昨日、明らかに何か隠してること気付いてたのに。
なんでもっと、ちゃんと話をしなかったんだ。
ああすれば、こうすれば……なんて、言い出したってキリがないことくらいわかってても、思わずにはいられない。
………頼む、間に合ってくれ………。
目の前の信号が青に変わると同時に、俺はまた全力で走り出した。
最初のコメントを投稿しよう!