動揺

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「すみません。お待たせしました」 そう声を掛けると、男はゆっくりとこちらを振り向いた。 現れたのが香音ではなく俺なのに対し、当然驚きは隠せない様子。 けれど、男の目が香音の姿を捉えると、その表情はすぐさま穏やかなものに変わる。 「まさか二人で来るとは思いませんでした。……でも来てくれて嬉しいです。ありがとうございます」 男は軽く頭を下げたあと、俺と香音を交互に見て、何か吹っ切ったようなそんな顔をする。 「つまり、……そういうことなんですよね?」
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