2049人が本棚に入れています
本棚に追加
「すみません。お待たせしました」
そう声を掛けると、男はゆっくりとこちらを振り向いた。
現れたのが香音ではなく俺なのに対し、当然驚きは隠せない様子。
けれど、男の目が香音の姿を捉えると、その表情はすぐさま穏やかなものに変わる。
「まさか二人で来るとは思いませんでした。……でも来てくれて嬉しいです。ありがとうございます」
男は軽く頭を下げたあと、俺と香音を交互に見て、何か吹っ切ったようなそんな顔をする。
「つまり、……そういうことなんですよね?」
最初のコメントを投稿しよう!