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男のその問いに、俺は躊躇うことなく告げる。
「はい。この間は急いでいたので質問にちゃんとお答え出来ず、すみませんでした。……俺達、付き合ってます」
堂々と吐く嘘は、代償とばかりに虚しさも連れてくる。
「……部屋から出てきたのを見た時から、予想はしてましたから」
そして男の視線は、香音へと真っ直ぐ注がれる。
「それでも、最後に自分の気持ちをどうしても伝えたかったんです」
男がこれから何を言おうとしているのかは、なんとなくわかっている。
こんな居心地の悪い空間から抜け出したくて堪らなくなるけど、この手を離すわけにはいかない。
「……初めて会った時から、北見さんのことが好きでした」
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