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正直に打ち明け、謝ったからって許せることじゃない。
だけど、それを決めるのは俺でもないってわかっているのに、一度開いた口は止まることを知らない。
「もういいです。そんな話」
自分でも驚くくらい低い声が響く。
「結局、怖い思いをさせたことには変わんねーから」
剥き出しの感情に男は口を横に結び、黙り込む。
すると、その代わりに次は香音が声を発した。
「………訊いてもいいですか?」
怒りや怯えた様子はなく、ただ淡々と会話を進めていく香音は、純粋に気になっていたことをぶつけていく。
「どうして、全部話そうと思ったんですか?」
その問いに男はスッと視線をテーブルに落とすと、小さく息を吐いてから口を開く。
「………今日で最後なんです。北見さんに会えるの」
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