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わからない。
今打ち明ける理由も、香音の思いも。
「…………大嫌いなんじゃねーのかよ。……なんでそんな小さなことまで……、覚えてんだよ」
静かな空間に響く俺の声は情けないくらいに震えて、少し掠れていた。
「………どんな小さなことでも覚えてるよ……。忘れたりなんかしない………………どれも大事だから」
心の中で、苦笑する俺がいる。
期待しても無駄だって、何度も思い知らされてきた。
それでもまた懲りもせず、簡単に期待してしまう自分がいる。
俺は香音の腕を掴んで玄関へ滑り込むと、壁に押し付ける。
支えをなくした玄関のドアは、ガチャンと音を立てて閉じた。
「………ハ、意味わかんねーよ。大事ってなに?……っ、じゃあなんで離れたんだよ……」
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