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俺の腕の中で香音は抵抗することなく、小さく嗚咽を漏らしながら、遠慮がちにシャツを握りしめる。
言葉はなくても、今、この一瞬は気持ちが繋がったような気がして。
「……香音、顔……上げて」
戸惑いながらもゆっくりと俺を見る瞳は、涙に濡れている。
もう"好き"だけじゃ足りなくて。
言葉では伝えきれない愛しさを、唇で伝える。
「………っ、は」
零れる吐息が、応えてくれる唇が俺を溺れさせる。
甘い空間の中、突如鳴り響く携帯の音に気づきはしても、目の前の欲望には勝てない。
「…っ、……壱吾、電話……」
「放っとけ」
「……でも、」
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