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香音の部屋を出ると、再び着信を知らせる音が鳴り響く。
相手が誰かなんて、確認しなくてもわかる。
『……はい』
『おい、何で切るんだよ?』
和泉の少し不満気な声が耳元で聴こえたあと、『まあいいや』とひとり納得すれば、
『な、今度の同窓会のことだけどさー、羽村行くよな?』
『…まあ、そのつもりだけど』
今月末に行われる高校の同窓会。
和泉や松野とは卒業してからも就職してからも、定期的にご飯や飲みに行ったりして会う機会はあった。
『松野も田村も飯山も来るってよ。みんな揃うの久しぶりだよな!』
『…ん、そうだな』
素っ気ない返事が気に入らなかったのか、和泉は分かりやすく拗ねたような声をあげる。
『んだよ。さっきからなんか機嫌悪くね?』
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