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電話越しにも関わらず、イタいところを突かれてグッと押し黙る。
いや、別に機嫌が悪いわけじゃない。
確かに"邪魔された…"なんて一瞬思ったけども、和泉の着信がなければ自分の欲望のままに突き進んでいたかもしれないんだから。
『…和泉』
『なんだよ?』
『ちょっと…助かった』
『はあ?…なに?全っ然意味わかんねぇんだけど』
『ははっ、わかんなくていーよ』
残念なような、ホッとしたような複雑な感情があるのは確かだけど、それよりも初めて香音の本音に触れられたことが嬉しかった。
だから俺は、今度こそ距離が近づいたんだと思い込んでいたんだ。
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