嫉妬

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ーーー高校二年、夏。 「よろしければ、新しいグラスをお使い下さい」 そう言って彼女は俺の手からグラスを受け取り、笑顔で去っていく。 最初の印象は、明るく元気な店員さんだな…くらいで。 何度か店を訪れ、顔を合わせているうちに、気がつけばいつも彼女の姿を目で追っている自分がいた。 「………また見てる」 和泉はテーブルに突っ伏したまま、俺を見上げる。 「珍しいじゃん、羽村が女の子に興味持つの。なに?気になんの?」 「…………別に」 「のわりには、さっきから何回も手止まってるけど?」 ニマニマとした笑みを浮かべた竜は、テーブルの上に広がる問題集を指差す。 このページを開いてからずいぶん経つのに、まだ最初の数問しか解けていない。
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