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「自分のこととなると、ずいぶん弱気じゃん」
「和泉がいつも強気すぎんだよ」
今はまだ攻める勇気もないから、多くは望まない。
だけど、ずっとこのままでいいわけでもないから。
少しずつ、彼女に存在を知ってもらえたら……そんな風に思っていた。
「んじゃ、そろそろ帰りますかね」
少し慌ただしくなり始めた店内。
テーブルの上に散らばる問題集を片付け、和泉が伝票を手に先にレジへと向かった。
「あ、やっぱ俺、トイレ行ってくる!悪いけど、羽村お会計しといてっ。…はい、これ俺の分!」
「はっ?」
先に向かったはずの和泉が引き返してきたかと思えば、伝票と自分の分のお金を押し付ける。
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