嫉妬

12/50
前へ
/747ページ
次へ
「自分のこととなると、ずいぶん弱気じゃん」 「和泉がいつも強気すぎんだよ」 今はまだ攻める勇気もないから、多くは望まない。 だけど、ずっとこのままでいいわけでもないから。 少しずつ、彼女に存在を知ってもらえたら……そんな風に思っていた。 「んじゃ、そろそろ帰りますかね」 少し慌ただしくなり始めた店内。 テーブルの上に散らばる問題集を片付け、和泉が伝票を手に先にレジへと向かった。 「あ、やっぱ俺、トイレ行ってくる!悪いけど、羽村お会計しといてっ。…はい、これ俺の分!」 「はっ?」 先に向かったはずの和泉が引き返してきたかと思えば、伝票と自分の分のお金を押し付ける。
/747ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2049人が本棚に入れています
本棚に追加