嫉妬

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「………お願いします」 レジに立つ彼女に伝票を手渡せば「ありがとうございます」と受け取り、にこやかに微笑む。 目線のやり場に困り、やたらレジ前のお菓子を凝視していると、 「…なにか、買われますか?」 「え?…あ、いや、…だ、いじょうぶです」 彼女の気遣いに俺は慌ててお金を差し出すと、彼女の口元が微かに緩んだ。 「疲れた時は、甘いものがいいみたいですよ」 そう言うと、手のひらにレシートとお釣り、それにミルク味のキャンディーが乗せられた。 視線を手から彼女に移すと、俺の好きな笑顔を浮かべ、深く一礼する。 「ありがとうございました。またお待ちしております」
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