嫉妬

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できるだけ明るく返したつもりだけど、張りつけた笑顔は引きつっている気がした。 「…え、いつ!?」 「6年前…です」 「…6年前……」 津坂さんの表情が徐々に曇っていくような気がして、俺は更に明るく振る舞う。 「もうずいぶん昔のことなんで。…当時は落ち込みましたけど、今はすっかり立ち直ってますから」 少しでも津坂さんに心配をかけないように嘘を並べ、手にしていた書類を渡す。 津坂さんは何か言いたげだったけど「…そっか」とひと言、呟いただけだった。
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