嫉妬

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津坂さんを見送り、自分の持ち場に戻ろうと背を向けた俺を、誰かが呼び止める。 後ろを振り向けば、たった今、見送ったばかりの津坂さんが立っていた。 「津坂さん?何か忘れ物でも…」 「ううん、そうじゃないんだけど…。羽村くん、今日仕事終わったあと時間あるかな?」 「今日…ですか?今日はちょっと予定が…」 夜は、主任と藤野さんの結婚を祝うために、いつものメンバーで集まることになっている。 正直、香音も先輩も来る場所に行きたくはないけど、主任にはたくさんお世話になっているから断るわけにもいかない。 「少しでいいから!…どうしても羽村くんに言わなきゃいけないことがあるんだ」 俺に言わなきゃいけないこと…? 津坂さんの真剣な表情に、俺は「少しでいいなら…」と、仕事のあと近くのお店で会う約束をした。
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