嫉妬

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「……ごめん」 「ちょっ、津坂さん、顔上げて下さい!」 津坂さんに謝られる理由なんか、微塵も思い当たらない。 訳が分からず、慌てる俺の前に、コーヒーが2つ運ばれてきて、遠慮がちにテーブルの上に置かれる。 「…俺、津坂さんに謝ってもらうことなんて、何ひとつないですよ?」 むしろ、あの頃、たくさんお世話になったのは俺の方。 だけど、津坂さんは首を横に振る。 申し訳なさそうに唇を噛みしめ、真っ直ぐに俺を見ると、 「…俺、羽村くんに黙っていることがあるんだよ」
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