嫉妬

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津坂さんは、言葉を探すように口を閉ざす。 そのわずかな時間がとてももどかしくもあり、でもその先を聞くのが怖くもある。 ………なにが、あったんだ? 早る心臓。 テーブルに置かれたコーヒーから立ち昇る湯気のように、イヤな予感が身体の底から湧き上がってくる感じがする。 「……………………津坂、さん?」 意を決した津坂さんの口から零れた言葉は、とても衝撃的なものだった。 「………………北見さん……………襲われかけたことが……あるんだ」 頭が真っ白になるって、こういうことをいうんだろう。 身動きひとつ取れず、今、耳にした言葉を理解しようとしても、ただ頭の中をすり抜けていく。 「………倉庫で……北見さんに好意を持ってた……同じアルバイトの…子に………」
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