嫉妬

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この場にそぐわない今流行りの明るい曲が流れる中、俺は何か言葉にしようと思うのに、声が上手く出ない。 「……あの日、彼は休みで…忘れ物を取りに店に来てたみたいなんだ。……その帰り際に、たまたま倉庫にいた北見さんを見つけて………」 正直、こんな話を聞くのは辛い。 だけど、それは津坂さんも同じなんだろう。 「もっと早く……俺が倉庫に行っていれば……そもそも北見さんを倉庫に行かせなければ、何も起こらなかった…」 津坂さんはそこまで口にすると、また俺に向かって深く頭を下げる。 「すぐに羽村くんに連絡しようと思ったんだ。…………でも北見さんは……羽村くんにだけは絶対に……言わないでほしい……って…」 過去が明かされると同時に、繋がり始める点と点。 「それでも……ちゃんと本当のことを伝えるべきだった。………ふたりが別れることになったのも、俺のせいだ……本当にごめん……」 6年越しに解けた謎は、ものすごくショックなものだった。
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