嫉妬

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「……顔、上げてください」 この事実を知ったところで、津坂さんを責める気になんてならない。 だってきっと津坂さんがいなかったら、香音はもっと心と身体に傷を負っていたかもしれないから。 「……津坂さんは、約束守ってくれてますよ。……香音のこと、助けてくれてありがとうございました」 顔を上げた津坂さんの表情は堅く、苦しげに俺を見つめたまま、首を左右に緩く振る。 「……本当に…ごめん」 「津坂さん、俺……ずっと振られた理由がわからなくて。…もう6年も経つのに、本当は全然立ち直れてなかったんです」 香音が別れを告げた理由がわかれば、きっと諦めもついて前に進めると思っていた。 「今、この話を聞いて……正直まだ…全然整理つかないですけど……でも…今、ものすごく香音に会いたいです」
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