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追いかけたところで、はっきりスッパリ拒絶されてしまったのに、いい方向に転ぶはずもない。
というか、正直……さすがにメンタルへのダメージもでかくて、もう頑張れそうもない。
「……………………俺だって、」
「香音ちゃん、男が苦手だって知ってた?」
遮るように放たれた言葉を理解するのに、遅れること数秒。
俺が口を開くより先に、先輩がゆっくりと話し出す。
「男が苦手って言っても、羽村以外な。……意味わかるか?」
俺以外……?
でも、先輩とだって何度か出掛けたりしてただろう?
バーベキューの時だって、肩を抱かれてた。
それに………タクシーの中でキスだって……
次々浮かび上がる疑問に、戸惑いが隠せない。
先輩は俺の腕を掴み、勢いよく立ち上がらせたあと、グイ!と胸ぐらを掴む。
キャッ…!と小さな悲鳴と、主任の「嵩翔!」と制する声が耳を掠める。
「……まだわかんねえの?」
鋭い視線が、俺を捕まえて離さない。
「香音ちゃんは、お前しか無理だってことだろ」
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