0人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの、テレビ局のものですが、磯部さんですよね。少しインタビューさせていただきたいのですが……」
一瞬断ろうかと考えたが、このあと本番まで特にすることがないのを思い出し、引き受けることにした。
「ええ、分かりました。じゃあ、控え室に行きましょう」
「ありがとうございます。五分ほどで終わりますので」
控え室に戻り、磯部は部屋の中央にあるソファに腰を下ろした。後から入ってきたテレビ局の二人はすぐさまインタビューの準備をし始めた。その間磯部は暇だったので、とりあえず二人に名前を聞いた。男性が塩崎賢治(しおさき けんじ)、女性が槙野敦子(まきの あつこ)とそれぞれ名乗った。
「カメラは大丈夫?」槙野が塩崎に聞いた。
「準備オーケーだ」塩崎が頷いた。
「それでは今からインタビューを始めますね」
槙野がマイクを持って磯部のそばまでやってきた。
「はい」
磯部はソファに座り直し、姿勢を正した。
最初のコメントを投稿しよう!