スットマン

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ダルフもシロンも状況をわかったのか、頷きオーガオールがいる森の方に振り返り、歩き始めた。すると、セラが何かを思い出したかのように大きな声を出した。そしてジットの腕を引っ張り街の方に走って去ったが、すぐに「ちょっと待っててください」と言ってまた走り出して行った。 「どうする、ほっといて行くか」とシロンが訪ねたが、ダルフは待つ方を選んだ。ランダ以外の軍人や街の人は子供を待ってられずに、日頃の持ち場に戻ったりしていた。 「それで待っている間、何して待つ」とシロンが言った。 「なら、自己紹介をしようではないか、まだ我々お互いの事を知らないのだから」とランダが言った。「そうだな」と二人がハモった。 「で、誰から始める。こういう場合、言い出しっぺからだよな」とシロンが聞いた。 「…じゃあわかりました。私から言います」とランダは答え。 話し始めた。 「俺の名は、ランダ。マルナス軍北方面軍所属ヴィスタ地区の准尉だ、アニマは使えないが、魔法術が使える」とランダは答えた。 「…じゃあ次は俺が答えるか、俺はダルフ。マルナスのオッサ地方のジルワットから来た、ただの旅人だ。火のアニマの炎を使える」とダルフが答えた。 「俺はオスト帝国から来た。風のアニマの空気を使う」とシロンが答えた。 ちょうどその頃にセラとジットが戻って来た。 「お待たせ」とセラが言い、持ってきたカバンを開けた。 「みなさん、まだお昼を食べてませんよね。なのでお昼を持ってきました」 カバンの中には、おにぎりやサンドイッチが入っていた。これらは、今日の修行に行く前に準備していたものだった。修行の休憩の時にでも食べようと思って作って置いたが、モンスターの襲来でそれどころではなかった。そのまま忘れ去られるところを思い出し取りに帰っていたのだ。お昼の量は、頑張りすぎたのか5人のお腹を埋めるのに足りる量だった。食べ終わり、二人は「じゃあ行って来る」と言って門を出ていった。それに対しランダも「よろしくお願いします」と言って見送り。私達も討伐に行く二人を見送った。 少し経ち、「オスト帝国ってことは…」とランダが1人ぼやいていた頃に、一人の兵が来てこう言った。 「…が来ました。」 「そうか、わかった。これから人手間かかるは、いろいろと面倒だな」と言った。 こうして、門からオーガオールを討伐しに旅立った、ダルフとシロンは生息していると噂されるウジャールの森へと歩いていた。 ウジャールの森は、町一つ位の広さを誇るほど広大な森だ。森の中の木の根を潜ることもあるほど高低差や起伏が目立つ森なので、オーガオールなどのオーガやゴブリンやアンデッドなどの二足歩行系のモンスターには住みにくく、それよりはシカやイノシシなどの草食動物や、イヌやジャガーなどの肉食動物や、ウルフェンやユニコーンなどのモンスターなどの四足歩行の生き物が住みやすい地形の森になっている。 それなのにオーガオールが住み着いてきたのは村人や軍が驚いた。特に驚いたのは、ハンターだ。依頼リストにアップされたが地の利が悪すぎることから、依頼を引き受けるものがいなかったのだった。 そんな中、白刃の矢がたったのが、今回のモンスター襲来で著しい戦績を出した。ダルフとシロンの両2名の旅人だ。そんな事も有りながら、二人はウジャールの森へと入ろうとしていた。 4メートル位の高さの木々がたっていて、明かるい日の光が照らしているけどだんだんと中の方に進むにつれてその日の光は木漏れ日へと代わり、少し低い所では苔が生えるほど日の光は弱く、薄闇を放っていた。 だが突然森の奥の方で、ドスンと大きな衝撃を表す音が聞こえてきた。 「なんだ、今の音」 「さぁ、わからないが、行ってみるしかない」 二人は音のなる方へと歩き出した。すると音の方からシカの群れが逃げてきた。二人は群れを避けながら歩いた、するとさらに二度の爆撃音が聞こえてきた。その爆撃音からは地響きもして、野鳥やリスにネズミや、リーモンキと言う手長の猿などの群れ群れが慌てて逃げていた。 「なんだか、様子がおかしい。急ごう」とダルフが言った。二人は、逃げ回る群れ群れから避けながら走り大木な木の根を飛び越えると、ダルフの前にシカが現れ正面衝突しそうになるが、軽い身のこなしで危機を回避してまた走り出す。するとウルフェンやオーガの群れが来た。走りながらモンスターへと構えたが、モンスターは襲って来るどころか、逆に通りすぎ逃げ去って行った。 二人は驚いたのか、足を止めた。 「奴らは逃げているのか。どこへ行く」 とダルフが言った。 「なるほど、確かに奴らの習性からあれば逃げ惑う仕草からしかない。しかし逆に逃げる理由がわからない、オストにも書籍でオーガオールに関するのを読んで理解はしたつもりだが、爆撃を誘うものはないぞ」 とシロンが言い返した。 「と言うことは、違う誰かがオーガオールと交戦しているのだろ、しかも爆撃を誘発するのを使って」 「ならより急ごう」 そんな中、ダルフが話しかけた。 「ところで、シロン。君はオスト帝国の人と言ったが。それは魔導士かい」 「あぁ、察しの通り。俺は魔導士であり、国の戦争にも参加した」 「なら、あの鎧は錬金術の物か」 「そうだ」と言い、鉄鎧のアクセサリーを見せた。 「こいつを媒体にして、さっきの鎧を出した。あとは風のアニマを使って操って動かしているだけだ。」 「やはりお前は、空魔兵か…」とダルフは言った。 「そうだ。まさかアクロテンを越えて、こんな所まで俺の名が広まっているとはな。この俺も鼻が高いな」と喜ぶようにシロンが言った。 「まぁ噂を耳にしたまでさ…」と言い。「オスト帝国に爆裂、金剛、そして創世あり。だったが最近…空魔兵も忘れるなって聞いたで」とも思ったがダルフは口にしなかった。 そんな話しも中、音のなる方に着いた。 そこにはオーガやウルフェンの遺体や砕けた木々がゴロゴロと地面の上や木の根の上などに倒れていた。逃げ惑うオーガオールが辺りの木々を砕きながらさらに遠くへと暴れ進んでいた。 するとその瞬間、バァンと大きな破裂音がした。 その瞬間、オーガオールの胸に大きな穴を開け体を貫き、その前にあった木を砕け粉々に吹き飛んだ。二人は音のした方を向くと木の枝の上から大砲並の大きさのある砲筒の銃を持っている、金髪の女がいた。その金髪の女は砲筒を肩から斜め掛けにして、さっきまでいた木の枝から飛び降りてきた。 二人に気付いたのか、びっくりした素振りを見せた。 「あれ、人なんかいたの」と女は喋った。 「ごめん。人がいるなんて思わなくて、霰弾系や爆発系の使って回りのモンスター倒していたけど大丈夫だった」と金髪の女は聞いてきた。 「あ、あぁ。まぁ俺達は今来たばっかだから、大丈夫だよ」とダルフが答えた。 「ふーん、なら良かった。ところで来たばっかってことは、君たちはハンターなの、もしかしてあれ倒しに来たの」と金髪の女は聞いてきた。 「そうだね…」と言いながら、俺は事の事情を話した。 すると金髪の女は「あら、ごめんね。適当に誰もやらない依頼を引き受けたんだよね、でちょうどこれがあってやったんだ」と言った。 「まぁ村が襲われてなかったら、多分俺達はオーガオールを倒しには行かなかったよ」とダルフが言う。 「まぁいいは、私はただ人気の無い依頼をこなして力試しがしたいだけだし。賞金は訳合いこしましょ」と金髪の女が言って、オーガオールのところに歩いていき小型ナイフで首を切り落とそうとしたが首が太すぎで刃が通りきらず、赤毛の女は諦めたのかと思ったら、オーガオールの片足を持ってたロープで縛りもう片方を上に投げ木の枝に絡ませて地面に落ってきた。そしたら彼女はそのロープを思いっきり引っ張り下げた。 梃子の原理によりオーガオールの巨体な体は縛られた片足から浮き上がり、1m位中に浮きその瞬間を狙い砲筒の銃口を首の下で、両肩の間辺りに向けて構え撃った。 その早さは、ガンマンのホルダーから抜き取り腰の位置で撃つ早打ち並のスピードでオーガオールの頭と体を引き離した。 「よっしゃ」と彼女は満面の笑み掲げ喜んだ。が木の枝がオーガオールの巨体な体の重さにも耐えきれるわけもなく、へし折れそのまま彼女の頭へと落ちた。オーガオールの体がドーンと大きな音をたてた後に ゴスッン!と軽い鈍い音を出した。 「きゃあぁ、いたぁ」 彼女は両膝を折り曲げて座りかかり両手を頭にやり頷いた。すごい女のハンターに出会ってそのすごさに驚きを感じたが、可愛らしさを感じられる彼女だった。 「大丈夫か」と聞くと、「へへぇ、枝が落ちてくるとは思ってなかった」 と言った。 そこにシロンが、「まぁなら、とっとと村にでも戻るか、換金なら組合に行けばいいし、組合なら役場にある」 「ううぅ、よし。行こっか」 「大丈夫なの」 「うん、もう飛んでいった」と彼女は言った。 そして、「さぁ行くぞ…。ところで二人はだれ」と言った。 「あぁ、そう言えば自己紹介がまだだったな。俺はダルフ、2日前にオニッシュ村に着いた、こっちは少し前に起きたモンスターとの戦闘の最中に着いた、シロンだ。君は」とダルフは彼女に聞き返した。 「私はハル。ブテンと言う国から腕試しに旅をしている」とハルは言い、ウジャールの森を抜けるために歩き出した。 森を抜ける頃には森の動物は穏やかになってシカやリスなどが日々の生活に戻っていた。だがしかし、オーガの姿だけは見当たらなかったオーガの群れの主で、今回の依頼対象であるオーガオールがいなくなった今、奴らにとって住みにくいこのウジャールの森にいる必要が無くなった。そして、森を抜けるともう日が沈み始め、まぶしい夕焼けがさしていた。 「うわぁ、まぶしい」とハルは言った瞬間。彼女のおなかが、ぐうぅ…と彼女のお腹のむしが鳴った。 「うわ、やべえ森に入ってから何も食ってないは」と彼女はへこたれたかの様に言い、さらに「あなた達はお腹すかないの」と言った。 すると「俺達は、討伐に出る前に村の娘からお昼を貰ったから、村に着けばたくさん食べれる」とシロンが元気そうに答えた。 「だけど、森の中を駆けずり回ったから、お腹はすいたな」とダルフが付け足した。 「だよね」となぜかハルが元気そうに答えた。 「急いで、そのオニッシュ村に帰ろ」と言い、走り出した。 それに続きダルフも走り、シロンも「ふん、やれやれ」と言いながらも後を追いながら走り出した。 その頃、オニッシュ村の酒場では「ダルフさん達まだかな」と二人の帰りを今だかと待つジットが言っていた。 「そんなにも簡単に帰って来るわけ無いでしょ」とセラがいい 亭主が 「そうだよ、最初の時なんか、こうやってハンターが依頼や旅に行ったときは、もぉ気にしまくりだったよ、ここに戻ってくる人なら本当に安心できるのだけど、旅をしている人なら、換金するときの向こうの村の組合から安全の報告が無かった時は本当に仕事に手が着かないね、だからセラやおまけにジットも、旅をするときはこうやって後ろで支えてくれる人がいるってことを肝に命じて」 と語った。 旅をしたら、それを支えてくれる人がいるってことを忘れるなと…。 「そっか…」とジットとセラは言った。 それから、少し喋らなくジットはカウンターテーブルのイスに腰掛けて、水の入ったコップを持って固まってしまった。セラは店の手伝いはしてくれるもの、作業スピードが遅くたまにコップを倒してしうようになり、まるでジットが乗り移ってしまったかの様に見えるありさまだ。 「…まぁ別に、暗い雰囲気を作ろうとした訳じゃないから、ゆっくり待っていようぜ」と亭主が宥めるように言った。 「はい…」と返事はしたが、あまり元気が無かった。と少し重く暗くなった雰囲気のある二人いるの酒場にも、外も暗くなり客も集まる時間になり酒場も賑わって忙しくなって来た。 「セラちゃん、こっちにも酒をくれ」 「はい、た、ただいま」 「あれ、なんだか、セラちゃん元気がないね、どうしたの」 「まぁそれが前来た、旅人さんが今日きたモンスターの討伐をしに、ウジャールの森へと行っちまってさぁ」 「あぁ、なんだっけオーガ…オールだっけ、あれの討伐にいったのか…」 「それで、さっきまで(まだかな、まだかな)って言ってたのだよ、ちょっと心配なんだよね、あたふたしてるで」 「なるほどね、今日は二人とも危なかっしいからとは思ったけど、そういうことね」 「まぁ、だで戻ってくるまでか、そのうち切り替わるでしょ」と亭主が言っている。 その時、夜の風を招き入れながら酒場の扉が開いた。 「いらっしゃ…い」とジットが驚きながらも、客を迎えた。そこに現れてきたのは、ランダだった。軍のかったくるしい格好ではなく、身軽で装備の欠片もない、私服で現れた。ランダはそのままカウンターテーブルのイスに腰掛けた、 「いらっしゃい」と亭主が声をかけ「ご注文は何にします」と聞いた。 この対応はさすが酒場を営んでいるとジットが感心したが、バァンといきなり頭を叩かれた。 「何ボケッとしているの、ランダさんが来て何驚いているの、軍の人だってくるはよ。それよりたくさん注文が来てるのだから手伝う」 ハハハと客が大笑いし店に賑やかさが来た。 「やっぱり、こうじゃなきゃ」と客が騒ぎまくる。 「じゃあ、カレーを」と言った。それに応じ亭主が寸胴鍋に火を入れ仕度をした、 「今日はいろいろ大変だったようで」と何かを察しているように言った。 「まぁ王都から人が来たのでね、いろいろ見に来てね。軍の事とかをね」 「軍の事とね、それでダルフさんを討伐に…」 「亭主には丸分かりなのですかね、そうです。 王都から着た、スットマンって男は地方の自治軍のことをあまりよろしく思っていないんですよね」 「スットマン…」 「そしてよりによって、今回の襲来。「それを他のもの力を使いました。」って言えませんからね」 「それで、隠すために依頼をねぇ」 「まぁさすがに今回の襲来を裏で操っているとは思えませんので、危険はないと思います。オール位ならギガールやオーテールじゃないので」とランダと亭主の会話に、ジットが噛みついた。 「そんなんで、ダルフさん達を追い出すって酷くないですか」 「カレーお待たせ」とカレーをランダに差し上げた。 「別にジット、追い出してないぞ、少し目の届かないところに行ってもらっているだけだよ」と亭主が宥めるように言った。 「それでも…ダメなんすか、ダルフさん達にも手伝って貰ったって」とジットが言うが 「言うと自治軍を無くされる」とカレーを食べながら言った。 「無くなるって」とセラが喋った。 「ハンターに守られたなら、自治軍の意味もないから、軍を駐留させずに、地方軍の近隣の支所からの日帰り式になるだよ、軍はただの警備のため小隊の五人を昼と夜の2隊だけになる」 「それなら、いるから変わらないのでは」とジットが言うもの 「モンスターや敵が来ても、軍はなにもしない。来たら今日みたいやれば良いでしょってね。 ヤバくなったら町の駐留の付近で対処するってのが、スットマンのシナリオさ」 「なんで」と怒りに二人は言う。 「まぁ中央にそういうことだよ、自国の権威争いが忙しい連中よ、特に仕事と言えるのは他国との交流だよ」 「どこの国もおなじだね、そういうのは」 「うん、うん」とジットとセラが言った。 「え」と聞き覚えの無い声に驚き、声の方に向いた。 「あ、こんばんは」とハルは言った。そして、ダルフとシロンが酒場の扉を開けて入ってきた。 「ただいま」と言って
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