その男の名は

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その男の名は

image=499428509.jpg 男は霧深い木々を縫うように歩いていた。霧の濃い森を抜けると、眩しい光が射した。だんだん視界が広がり、草原が見えた。東の空から太陽の光を浴び、南からの風を受ける。それにつられ綿胞子が舞い、青臭い葉の匂いが鼻をそそる。草原を少し歩くと、野花の咲く丘に出た。赤・青・黄色等咲かすチューリップやパンジーなど野花が辺り一面に咲き誇っていた。男はそんな野花の中を歩いていると、下の方に村があった。それを見た男は、村に向かって歩き出した。 オニッシュ村 村は賑わっていた。村の側面に川が流れ、その隣を道が通りそれを子供たちが駆け巡り、通りの市場では女性が商人と話しながら買い物をしている。村の中心には、鐘楼の付いた高い建物がある。この建物は役所やクエストなどの換金を行う組合などがある。時間やイベントになると上の鐘楼で鳴らして村人に知らせる。その下には郵便用の伝書鳩の小屋用のスペースがある。基本この世界のほとんどの通信はこの伝書鳩や馬車等による配送が8割、残りの2割は携帯やパソコンによる電子通信だが、この方法は機械的都市か組合のクエストによるランキングなどのデータ管理位にしかない。伝書鳩の下階は、郵便や世界情勢を語る新聞を管理する通信課がある。その下の階は村長の部屋があり、その下の階は、住民の管理や銀行がある住民課がある。そして基本的どの市町村でもあるクエストによる組合事務がある。この組合は、村人旅人や軍隊の駐留所となっていて、旅人たちが採ってきた物を組合が買い取りそれを商人に売って、商人が住民に売るというこれがこの世界の商品の流通だ。 「今日は鹿が獲れたぜ さぁ換金してくれ」 「わかりました。ジットさん。 えー今日はメスのシカですか では、料金は3500Gですね」 「 えーたったの3500 おかしいだろ、シカの相場は5000だろ。なぜだ」 「そうですね…シカの基本相場が5000なだけで、状態によっては値下げします。 まずこの鹿は、そのまま体を運んできました。ということは、血抜きをされていないってなるのです。」 「 …………」 「 血抜きをされていない肉は質を悪くします。そのために値下げしました。 次回からは血抜きをするか、生きたまま運ぶことをオススメします。 またの訪問をお待ちしています。」 「ありがとう。金が入ったし隣の宿屋でクエストを探しながら一杯でもやるか。」 宿屋でクエストを探して役場で獲物の換金をするのが主流になっている。宿屋に行けば酒場で、いろいろな旅人からの情報交換ができる、そして仲良くなった人とチームを組むなどするなどお互いにメリットがある場所である。 「ふー、疲れたし早く一杯やりて」 「 いらっしゃい、 やぁジット 今日はいいのが狩れたかい」 「やぁ今日は、シカだよ、メスのシカ 血抜きしてなかったから、値引きされたな。あとオスさえとれれば、ツノの大きさで値段が基本価格から値上げや倍額になるのに」 この小人風な茶色のズボンに黄色い服、薄茶のスカーフをした格好をした子供、名はジット、齢9の子供である。弓矢や短剣を使って今は草食動物や草花を狩っている。 「 ははは、そりゃ血抜きしてなかったから、鮮度が落ちて肉が悪くなるし、値下げされて当然だな。 それにツノが大きいのなんか、シカの中でも強さの証だ、そう簡単にジットにはやらせてくれないな。」 この男、この宿屋の亭主で通商ギルド(泣かない宿)の連盟会員で、元ハンターで店の至るところに墨絵や一部を飾っている。ジットのハンター技術力の基礎的を教えていたりしている。 「なんだと、俺は将来モンスターや恐竜や幻獣を狩るんだぞ。」 「ひゃははは」 すると奥のテーブル席で、高笑いする声が聞こえた。
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