荒くれもの

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荒くれもの

「おいおい、ガキ。お前みたいなガキが、幻獣や恐竜やモンスターなんか狩れる訳ねーだろ。 せめてこの村で、猟師でもやっていな」 「なに」 「そんな幻獣やモンスターや恐竜は軍の少佐であり、のちにこの国の最強最高の軍、マルナス中央政府軍の将になるラーム様が。」 この男「ラーム」体長2㍍はあり、黒く汚れた軍服を着、服をしめず表から肌が見える、腰には剣がささって、髭図らの顔が印象的な男だ。 「だから、この村でガキはチマチマと生きてりゃいいだよ」 「なんだと、ふざけるなぁ」 ジットはラームに向かって持っていた石を投げようとした。しかし亭主止められた。 「よせジット、相手は軍人だ。お前が叶うわけない。」 「くそ、離せおっさん。俺の夢を笑われて大人しくしてられるか。」 「ははは、亭主に助けられたなガキ。」 ラームが宿屋を出ようと扉を開けて歩いたら、立っていた青年にぶつかった。ラームはその衝撃にふらついて、壁に手をかけた。 「くそぉ、痛ってなぁ」 「あっごめん」と男が手を差し出すと、ラームはその腕を掴みそのままラームの居たテーブルの方へと投げ飛ばした。ラームの飲んだあとのグラスや食器があったけど、男が飛んできたと同時にそれらが割れて散らばりテーブルや椅子までも散らばった。 「くそ、ムカつくぜ」 そう言いながら、ラームは店を後にした。ジットや亭主、そしてジットと同い年の亭主の娘で亭主自慢の看板娘のセラが男の元へと駆け付けた。 「大丈夫ですか。」 「うぅ…」 「セラ、水や濡れた布巾を」 「はい」 そうすると金髪で薄いピンクのワンピースを着てエプロン姿のセラは、カウンターに行きコップに水を汲み持って行って亭主に渡し、亭主が飲ませている間にカウンターに戻り布巾を濡らし男の元へと行き、顔を拭く。 「ありがとう。ふぅびっくりした。」 「お兄ちゃんすごいね。ぶつかっていた大男のラームをよろけさせるなんて。」 男はただたんにきょとんとした顔をしていた。 「兄ちゃん、あまり見ない顔だな。旅人かい?」 「あぁ、さっきこの村に着いた」 「ほぉそれはご苦労なことだ、何処からきたのだい」 「ジルワット。そこが俺の生まれた町だ。そこから着た。」 「ジルワットか、それは長旅だな。」 男は、クスッとニヤついたするとセラがしゃべった。 「お兄さん、どうしたのですか?」 すると、男は 「いやぁ、行きのいいだけのガキがいるなって」 「行きいいガキで何がわるい」 「いやぁ、悪くはないよ、悪くは」 「なんだとラームをふらつかせていいヤツかと思ったのにがっかりだぜ」 「ハハハ」 男は笑いだした。大きな口を開けて大きな声で人を小馬鹿にするように。 「ふー、ホントにいきのいいガキだ。めでたいヤツ。ムカつくヤツが人にぶつかってよろけて喜ぶのだからな。それならドラゴンはあの軍人に任せてお前はそこら辺の動物を狩るのがお似合いだ、まさにあの男の言う通りだな。」 「何を」 とジットは、男の顔を殴った。2発目取りかかろうとしたが、亭主に腕を捕まれて殴れなかった。 「やめるのだ、ジット」 暴れながら、もがき男を殴ろうとしていた。 「離せ、親父、あいつを殴らないと俺の気が晴れない。俺のプライドが許さね。こいつを殴り倒さないとダメだ。」 すると男が、殴られたのに、そうではなさそうに言う。 「ふん、やろうと思えば出来るではないか。しかしやぶからぼうに飛びかかっても命が足んないぜ。」 そして男は立ち直り去り際にこう言って店を後にした。 「お前らはいい魂を持っているけどまだ若いし、鍛えれば強くにもなれる、そうしないと何も守れないぞ。」 「くそ、なんかムカつくヤツだったぜ。今日は最悪な日だったぜ」そう言いながら、カウンターに行き座飲みかけのドリンクを飲みながら席に着いた。 「ふー、何だいジットそんなことで腐っていたら本当にあの二人の言う通りだぞ。」 「まぁ仕方無いさぁ、本当にジットは子供なのだから。」そう亭主やセラはジットを弄るように言った。これはジットを向き直す事にいつもならなっていたが今回は違った。火に油をかけるのと変わりなくさらには怒って出ていった「うるせー」と行った。 「ちょージット」 「まぁこうなる事もいつもの事だ、時期に腹でも空かせて戻ってくるさ」 「確かにね」 と亭主とセラは、後片付けと夜の準備など店の事をしだした。 「あーくそ、ホントに今日どいつもこいつのムカつくぜ。ラームと言いあの男と言い、さらには亭主やセラまでバカにするのだからな。くそ。」 それほどまでに、ジットの心は揺らいでいた。大きな夢を野望を語ったら笑われ、怒られ、バカにされる。少年の心を追い込むには充分だった。そして、近くにあった大きな石を思いっきり投げた。その石は気持ちいい程に放物線を描きずっと前から置いてあったバケツに当たった。バケツは石の当たった側とは反対側に倒れ、そして通りがかった人に落ちた。中には長い間放置されて溜まっていた分の汚れと廃水もぶちまけられた。 バシャッア!! 「うぅぅ、くそ。一体誰だ、俺にこんなことをしたヤツは。」 「うげ、やべぇ。しかし、どっかで聞いたことのある声だな。誰だっけ。」 ジットは少し考えたが、諦めすぐさまに立ち去ろうとし、塀の脇の小道を抜けて行った。 「ぜぇぜぇ、もうすぐ抜ける。」 小道を抜けた瞬間に、誰かに押され横に吹っ飛ばされた。 「ぐぁあ、くそ。一体誰だ。」 それは、背丈は170ぐらいの細身、腰には長銃を備え付けていた軍服の人だ。 「ボス、先回りして出てきたネズミがこいつです。」 その軍服の人の言った先には、何とも見慣れた光景のあの男、ラームがいた。そしてジットは、バケツを被った男がラームであることに気づいた。 「よーお、ジット。てめぇこの俺に何て事をしてくれるんだ。よっぽど死にたがりなもんだな。」 「うぅぅ、くそ、俺をバカにするな。」 四つ這いになりながら叫び、ラームに突進していた、しかしラームも突進に合わせて拳を打ち返す、しかし今回は吹っ飛ばされず耐えて次の一発は当て様としているが、ことごとくラームにかわされお返しのパンチをもらうはめであった。あげくのはてにはむなぐらを、捕まれ持ち上げられた。 「くそくらいにムカつくガキだ。こんな奴らに喰われている獣が可愛そうだ。」 「ハハハ、確かに言えるぜ、ボス」 バシン!! そこには、一瞬弾く音が響き渡った。 それはジットが、ラームの顔色に拳を一発入れた音だった。 「ガキでも、拳を打ち返すことも出来たぜ、ラーム。貴様も獣に喰われる仲間だな。」 「あぁーくそ、痛てなぁガキ」 「このガキ」 すると、軍服のヤツがジットをぶん投げた、ジットは投げられるままに受け身にとれずに転がった、そしてジットが四つん這いになり顔を上げた瞬間、軍服のヤツは顔面に向けて長銃を構えた瞬間、俺はとっさにと言う表現ではなく流れるままに目を瞑ってしまった、あとがなく終わりを感じた。軍服のヤツが、引き金を引こうとした。その瞬間…(ぐぁあ)と声とガシャと物がぶつかる音が同時にした。そのすぐ後にガシャ、ガシャと物が飛び散る音がした。俺はとっさに目を開け辺りを見ると彼の手にあった銃を弾き飛ばされていっ 「くそぉ、だれだ」 「あぁ~あ、まったく情けいな、これでお前は一回死んだぜ」 俺は声のする方へと振り向いた。それは酒場で出会したムカつく旅人の男であった。 その男は40mも離れた距離から左手をジャンバーのポケットに入れて右手は石を持て歩いてきた。 そう男は50mも離れた距離から石を投げて軍服のヤツの持っていた銃にぶつけて弾き飛ばしたのだ。 「てめえ、よくもなめた真似をしてくれたな」 軍服のヤツは機嫌を怒らせ俺を後ろ蹴りして、軍服のうちに仕込ませて置いたサバイバルナイフを右手で取り出し男へと走って行った。 男と軍服のヤツの距離、 3m。 「死ねぇ」 軍服のヤツは、ナイフの間合いに入った瞬間にサバイバルナイフを男の顔面へと突き刺しにかかった。 男は右手に持っていた石を上に投げサバイバルナイフを弾いた。軍服のヤツはサバイバルナイフが手元から弾かれ焦ったが、事既に遅し。男は石を投げる動作と同時に右手を上に上げ、すぐさま降り下ろし軍服のヤツの額に拳を当て、そのまま後ろに押し倒し右手から離れるも勢いはそのまま伝わり、軍服のヤツは反転し後頭部から地面へと叩きつけられた。それと同時にサバイバルナイフと石が地面に落ち散らばった。 そのまま歩きながら男は右手をジャンバーのポケットに入れて俺に言った。 「情けないが、俺がいて運が良かったな」 今までの一瞬の出来事にフリーズしていた俺はとっさに頷いた。
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