ごめんね

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それぞれの帰路へつき始めた時、不意に桜の花びらが一枚、ふわふわと顔を撫でた。 どこからやって来たのか、また一枚、ゆっくりと頭へほおへ肩へ降り落ちーーーー 目の前に大きな桜の木が現れた。 「あれ?」 確かに友人もどきと鳥居を潜ろうとしてたはず。 だけどどうしてか? 目の前には神殿を背にした大きな桜が私を、私達を見下ろすように立ち塞がっていた。 サラサラとザワザワと風を受けて揺れる枝からこぼれ落ちる花弁。 意思を持ったように私達を包むように流れて行く。 『どうして』 耳ではなく、頭の中に直接響く淡い声。 感情を持たないその声は、同じ言葉を繰り返す。 『どうして、どうして、どうして』 「何なのよ!!」 悲鳴に似た声を上げたのはリーダー格の友人もどき。 頭を抱えるように蹲りながら何度も叫ぶ。 『どうして、どうして、どうして』 「もうやめて!!」 次から次へと叫び始める友人もどき。 そうしてどんどん蹲り始める姿を眺め、私はどんどん冷静になって行く。
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