ごめんね

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「そうだね、もう一度やり直そうかな、そうすれば素敵な人間になれるかな」 私の声を聞いたのか聞いてないのか、いつまでも私の周りを回っていた男が、勢いよくナイフを突き刺した。 痛みは無かった。 紅い液体が体を伝う暖かさだけを感じて目を閉じる。 いつもいつも、綺麗だと見に来てくれる少女がいた。 どんな時でも笑顔なのに、いつまでも怪我だらけだった。 「私も桜みたいに綺麗だったらお友達ができるのかな」 そう呟いたから、私は決意した。 貴女を守りたいと、貴女とお友達になりたいと、貴女と………… お喋りしてみたいと。 親に秘密で枝を降り、花弁を取って、桜を辞めて、人間になったのに。
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