ごめんね

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吸い尽くされて、食べ尽くされて 人間の皮だけになった時 また私は元の視線に戻ってその光景を見下ろしていた。 親の幹は、今度は離さないと私の先を自分に接ぎ、強い風が吹いても折れなくなった。 離し切ったはずの花弁が、お帰りなさいと纏わり付き、また一つになった。 元の居場所。 神社の奥でひっそりと佇み続ける大きな桜の木の枝に戻った。 「はぁー美味しかった」 私だったものを食べ尽くした男は満足そうに笑い、汚れた顔を女が可笑しそうに拭いて行く。 そこへまた一人、人間がやって来る。 上靴を履いて、何故か手に靴を持った女の子。 目の前の光景に恐怖を感じて逃げる、 事は無かった。
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