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本当は悩んだ。
アイザックが居ないうちに消えようと思って、早一週間。
結局、奴と会うことも家を出て行くことも出来なかった。
いくら時が過ぎようと、時間は何も解決してくれないし、嫌な記憶も消してはくれない。
それを俺はいま身を以て体験している。
嫌な記憶は脳に刻まれているのでは無い、身体に刻まれているのだ。
風呂に入っている時も思い出して、ただのお湯が錘(おもり)のように重たくなる。
こうやって人は不可抗力で溺れていくのだろうか。
水にも溺れ、感情にも溺れ……、ああ、やっぱり、ここを出て行こう。
そう思ったのは昼を過ぎてから何時間後のことだったのか。
神は本当に意地悪な存在だ。
いや、そもそも存在しているのだろうか。
いいや、神なんて居ない。
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