一六八時間の決裂

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だから、こんなことが起こるのだろう? 「……あんた、誰だ?」 アイザックの家を出ようと玄関の扉を開けた瞬間だった。 直ぐそこには見覚えのない髭面の男が立っていた。 スーツではなく、どこにでも居そうな白いシャツにジーパンを履いた見知らぬ男。 「この家に住んでる方ですか?」 何故、男はニコニコと笑っているのか。 「誰なんだ、あんたは?」 誰だか知らない人間に家の中に入られたら困る。 扉を後ろ手に閉めながら俺は尋ねた。 見たことないが、アイザックの知り合いか? 過去に訪ねてきたことがあったか? 「あ、小さな出版社の記者をやってる、林といいます」 まだ笑みが消えない。 笑っているのに、何故か気味が悪い。 「記者が何の用だ?」 近くで事件でもあったのか? そう思った瞬間に、俺はハッとした。
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