一六八時間の決裂

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静かに一番奥の扉を開けていく。 同じグレーのカーペットに、同じ大きなベッド、同じ様な場所なのに少しだけ、他の空間とは雰囲気が違う。 電気を点けた瞬間に、その理由が分かった。 ────なんなんだ、これは? 部屋に入って正面の壁際に、何やらよく分からない機材と今では珍しいブラウン管のモニターが四つ並んでいた。 左の壁を見て、更に驚くことになる。 写真が無数に貼り付けられていたのだ。 三人の見知らぬ若い男の写真が。 恐らく、年齢も髪の色も住んでいる地域もバラバラだ。 確かに、これはストーカーがよくやる行動の一つだが、まだ断定は出来ない。 他の線も同じく考えられないが、俺は恐る恐るモニターのスイッチを一つずつ入れていった。 画面が映り出すのに時間を要するのは、ブラウン管特有のものだ。 暫くして、ぼんやりとした色のハッキリしない映像が流れ出す。 一つ目のモニターには誰かの部屋が映っていて、そこで誰かが寛いでいた。 二つ目も、三つ目も同じ。
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