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それを暗示と言うのだろう?
負の暗示だ。
精神が病んだ人間は自分の言葉だと理解出来ない。
すべて他人からのプレッシャーだと、脅迫だと、思い込む。
俺もギリギリなところまで来ていた。
もう少しで、自分が自分ではなくなるところだった。
今の俺は割と落ち着いている。
仕事は、役所の向かいにある古い喫茶店の手伝いだが、良い場所だ。
家からも近い。
何故、そんな場所で働くことになったのか。
俺も初めは人生を修復しようと必死に転職活動をしてたんだが、面接する上司が皆、雰囲気が前の上司に似ていて、ぶん殴りたくなってしまうために断念した。
彼等が悪い訳では無いが、申し訳ない。
忘れられないんだ。
転職活動を断念した日、俺は面接からの帰りにその古惚けた喫茶店を見つけた。
外観は周りの景色と全く合っておらず、まるで昔の外国人の家みたいだった。
窓には一枚の張り紙。
白い藁半紙に何故か墨で『老夫婦、助け、要』とだけ書かれていた。
────ろうふうふ?たすけ、かなめ?
最初は暗号かと思ったが、暫くして、ああ、助けを必要としているのか、と気付き今に至る訳だ。
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