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「名前は無いのか?」
「ああ、無い」
ボソリと適当に答えた。
前にも同じ様な、やり取りをした。
あの時、俺が「あんたと会うのは、今日が最初で最後だ」って思ってたこと、あんた知ってたか?
笑えるよな、最初で最後じゃなかった。
「じゃあ、俺は何て呼んでた?」
ああ、やっぱり、違うのか……。
すまない、試したんだ。
『無い?ああ、まだ無いのか。名前、やっぱ猫で良いんじゃないか?』という返答を俺は期待してしまった。
「……ニャン太」
望んでしまった。
「ニャン太か……、俺らしいな」
パンケーキを見つめたままの俺にアイザックの視線が刺さる。
鋭いものでは無く、きっと笑みを含んだ柔らかいものだ。
今、あんたの顔を見てしまったら、何かが終わってしまう気がする。
同じ顔、同じ声、同じ雰囲気。
それでも、何かが違う。
アイザックは、また同じ様に俺に笑い掛けてくれるだろうか?
また同じ様に、名を呼んでくれるだろうか?
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