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手を伸ばせば届く距離に居るが、きっと、あんたは俺に手を伸ばしたりなんてしないんだろう。
触れる必要なんて、無いのだから。
もう、名前を呼ぶ必要なんて、無いのだから。
「それで、俺は君をどうやって拾った?」
また君と言う。
何故、拾ったのが前提なのだろうか。
「君と言うな。あんたは俺を駅前で拾って、自分の家に連れて帰ったんだ」
お前は、今日からうちの子になるんだよ、なんてサラッと言って退けて。
一口も食べていない、目の前のパンケーキが徐々に冷めていく。
ナイフで不器用に千切れば、その現象は早くなる。
まるで、感情が途切れて、冷めていく様に。
「じゃあ、本当に一緒に暮らしてたんだな」
「ああ、あんたが記憶を失くす直前まで一緒に居た」
こんなことを言えば、アイザックに色んなことを問われると思った。
何故、記憶を失くした後、お前は居なかったのか。
何故、自分は事故に遭ったのか。
そう問われると思った。
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