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俺の頭の中で灰色の休業中という文字が失業中に変わる。
「駄目だ……」
無意識に俺は呟いていた。
さすがに、それは酷過ぎる。
アイザックがストーカー犯だろうと、俺の所為で、そこまで人生をボロボロにしてはならない。
俺は、あんたの破滅を願っている訳じゃないんだよ。
「アイザックさん、帰ろう」
「え?」
「気が変わったんだよ。また俺の気が変わる前に帰ろう」
一気にアイスレモンティーを飲み干して、俺は立ち上がり、アイザックより先にレジに向かった。
あの日のお返しだ。
「ありがとうございました」
店員の声を背に、俺は店の外に出た。
まだ微かに春の匂いがする。
あの日のことを思い出すと、少し笑える。
俺だけが覚えている、あの日を────。
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