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「……よし!じゃあ、これから会うか!縦縞駅って、分かるか?」
突然、何を言い出すのかと思った。
しかも偶然にも俺の最寄駅で、少々驚く。
「俺のこと、探して」
低く掠れた声が言う。
「探してって、あんたなぁ!」
急に探してくれと言われても困る。
俺はあんたの顔も名前も背格好も分からないのだから。
「ん?見れば直ぐに分かるさ。俺、外人だから」
「はあ?」
意味が分からない、と思わず変な声が出た。
「じゃあ、待ってるから、気を付けて来いよ?山田くん」
「だから、俺は山田じゃな────」
一方的に電話を切られた。
さっきの仕返しってか?
ムカつく野郎だ。
この苛立ちをあの男にぶつければ、俺は少しでも救われるだろうか?
どうせ、死ぬのだ。
もうなんだって良い。
行ってやろうじゃねぇか。
そう思った時には、俺の涙はピタリと止まっていた──────。
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