七二時間の沈黙

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「……よし!じゃあ、これから会うか!縦縞駅って、分かるか?」 突然、何を言い出すのかと思った。 しかも偶然にも俺の最寄駅で、少々驚く。 「俺のこと、探して」 低く掠れた声が言う。 「探してって、あんたなぁ!」 急に探してくれと言われても困る。 俺はあんたの顔も名前も背格好も分からないのだから。 「ん?見れば直ぐに分かるさ。俺、外人だから」 「はあ?」 意味が分からない、と思わず変な声が出た。 「じゃあ、待ってるから、気を付けて来いよ?山田くん」 「だから、俺は山田じゃな────」 一方的に電話を切られた。 さっきの仕返しってか? ムカつく野郎だ。 この苛立ちをあの男にぶつければ、俺は少しでも救われるだろうか? どうせ、死ぬのだ。 もうなんだって良い。 行ってやろうじゃねぇか。 そう思った時には、俺の涙はピタリと止まっていた──────。
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