トゥルーカラーズ

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「俺たちは、何のことか分からない。安藤だって、武彦だって、久しぶりにみんなに会ったんだ。俺も井川が来てないのは不自然だって思ってた」 慎吾の口から、井川、という言葉が出る。 それを聞くたび、何度も何度も、胸が締め付けられる想いを経験したことを思い出す。 井川、と言って笑いかける慎吾に、何度も苦しめられた。 千鶴は、慎吾に問い詰められて泣きそうになっていた。 「だって~、あたしたちは連絡したよ。繋がりを絶ってたのは、あんたたちじゃないの......。あたしたち三人は~、式にも出たし~」 「式?」 まさか、まさか、まさか......。 頭がキーンと痛くなる。 目の前の景色が次第に暗くなる。 「死んだの」 歩美が、何の感情も込めずにそう言った。
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