第5話

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「ちょ!心結ちゃん?!」 「ご、ごめんなさい!何でもないの!」 心結は駆け出した。優しさが嬉しくて、苦しくて。涙が止まらない。一人でいようとしたのに……。前も見ずに走っていた。生徒たちは慌てて、何事かと避けてくれた。しかし、進行方向にいた教師に真正面からぶつかってしまう。 「おっと!大丈夫か?」 しっかりと抱き止めてくれた。顔をあげるとクールな女教師。 「す、すみません!前方不注意で」 目を擦る。そんな心結の両肩ががしっと掴まれた。 「え?」 「み、心結?!心結なのか?!」 聞き覚えがある声。忘れられない、忘れるはずのない声。 「さ、さとちゃん?……でも」 顔は同じ。でも、あの頃より成長した親友がいた。親友の佐藤柚子 さとう ゆうこ 、その人だ。心結には信じられなかった。信じたくなかった。嫌でも時の流れを感じなくてはならないから。……しかし、今の心結には繋げることは出来ない。 「……やっと、やっと会えた!なんで制服着てるんだ?」 心結はきょとんとする。 「だって、高校生ですもの」 あの頃と寸分変わらない姿で、微笑んでいた。"天使の微笑み"と囁かれた笑顔で。 「……心結?」 違和感を感じた。
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